へたれブログ(ヘタレの漫画研究所)へたブロ

lobiグループのブログ版です。活動の記録や、メンバー募集のために作りました。

BLUEMAP―青い世界の物語―

「運命」とは何か?
――それは“出逢い”によってはじまり、動き出す。
 一人の少女と少年が出逢ったのも「運命」だろうか。
 しかし、それを決めるのは物語の結末次第。
――ここから、動き始める物語。


――


~囚われの少女~


序幕『光』


「お姫様。俺はお前をさらいに来た――」
 光というものは皆無。ここは、分厚く、固い石壁に閉ざされた部屋だった。
 それは一瞬にして、爆音とともに崩れ去った。
 その時生まれて初めて、赤の瞳は光を見る。
 息もできない程の風の中、少女の長い――恐ろしいほど長い桃色の髪は、宙を泳いだ。
 大きく見開かれた目は閉じることなく、力の行き場を失った脚は床を離れなかった。
 心から打ち震え、得体のしれない、底なしの恐怖が湧きがってくる。
 少女は朝というものを知らない。この部屋の暗闇が、生きる世界のすべてだった。――常夜の世界。
 そんな少女にとってそれは、夜に太陽の光が差し込んでくるような出来事なのだ。
 少女の前には人影がある。逆光と立ち込める煙から、顔は見えず、おぼろげな影しか見えない。
 もしくは、暗闇で長らく暮らしていた事で、視力が異常をきたしてしまったのだろうか。
 しかし耳は正常で、捉えた声から、影の正体が男だと分かった。
 男は少女に向かい、その手をそこへ差し伸べる。

f:id:knightmare8koe:20170311131414j:plain


「俺たちの信条は、個人の自由を尊重する事だ。俺たちはお前を拘束しない」
  少女は伸べられた手を掴むのだろうか、そして男は何者なのだろうか。
「この手を取るかどうかは、お前が決めていい」
 力のこもった声は、本当は少女を無理やりにでも連れて行きたいのかもしれない。だが、男は少女へ意思を問う。
「自由を受け入れるか? それとも――」
 少女の瞳は、まるで赤い宝石のように、眩い光を携えていた。
 その光が、これから起きる出来事に対する希望の光ならば、少女の答えは一つだろう。


――


~この物語の時代や、世界観のモデルは19世紀ヨーロッパのような、そんなイメージ。
 作者によって創られる、ファンタジーの世界へどうぞ~


―第一幕へ―